VIscuit開発者・原田はかせが日本ソフトウェア科学会より「業績賞」を授与

このたび当社の原田康徳博士が、日本ソフトウェア科学会より「業績賞」を授与されました。
本賞は、ソフトウェア科学の発展に顕著な貢献を果たした研究者に贈られるもので、博士の長年にわたる研究・教育活動が高く評価されたものです。


●原田博士 受賞コメント
日本ソフトウェア科学会は、私が学生時代からお世話になってきた、コンピュータソフトウェアの科学的研究に特化した学会です。
博士論文の基盤となった論文を発表したのも、ビスケットの最初の研究発表を行ったのも、この学会でした。
そのような学会から業績賞という大変名誉ある賞をいただけたことを心より嬉しく思います。
今後も、学術的な側面と実践的な側面の両面から、ソフトウェアの発展に貢献し続けていきたいと考えております。

●参考:日本ソフトウェア科学会 2024年度基礎研究賞・業績賞 (JSSST Research Award)
https://www.jssst.or.jp/award/detail/kiso2024.html
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●参考:日本ソフトウェア科学会業績賞 受賞理由
業績賞:原田 康徳 氏 (合同会社デジタルポケット)
授賞業績:プログラミング教育用言語 Viscuitの開発
授賞理由:
原田康徳氏はプログラミング教育用言語 Viscuit[1]–[4] の開発者であり,低年齢層のプログラミング教育の実践者として顕著な貢献を為している.
Viscuit は,図形書き換え言語に曖昧さを導入したものであり,書き換え過程を,ゲームや動く絵本などのインタラクティブなアニメーションとするプログラミング言語である.
開発にあたって,原田氏は,2003 年に発表された初期バージョンから現在に至るまで,現場でのフィードバックを設計に反映し続け,未就学児や,特別に支援が必要な児童でも
ストレスなく操作可能なインタフェースを提供するという,言わばインクルーシブデザインを取り入れたプログラミング言語開発を実践し続けている.また,Viscuit を用いた
教材にコンピュータサイエンスの基礎をふんだんに取り入れている.
これらの結果,Viscuit の採用数は,2020年から始まった小学校におけるプログラミング教育において,MIT が開発している Scratch についで2位である
(文部科学省:「学校における小学校プログラミング教育の実施レポート」(https://www.mext.go.jp/miraino_manabi/content/507.html)を独自集計).
なおこれらの事例には特別支援教育が含まれることも特筆される.
また原田氏は数々のプログラミングワークショップを開催し 6,000 人以上の子どもたちにプログラミングの可能性と楽しさを伝えてきており,現在もその数は増え続けている.
以上の顕著な業績と貢献により,日本ソフトウェア科学会は,原田康徳氏に業績賞を授与することとした.

出典:
[1] 原田康徳, 加藤美由紀, Richard Potter: Viscuit: 柔軟な動作をするビジュアル言語, 第 11 回
インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ予稿集, 日本ソフトウェア科学会, pp. 47–56, 2003.
[2] Yasunori Harada, Richard E Potter: Fuzzy rewriting – soft program
semantics for children.
HCC ’03: Proceedings of the 2003 IEEE Symposium on Human Centric
Computing Languages and Environments, pp. 39–46, 2003.
[3] 原田康徳, 勝沼奈緒実, 久野靖: 公立小学校の課外活動における非専門家によるプログラミング教育, 情報処理学会論文誌,55(8), pp. 1765–1777, 2014.
[4] 原田康徳: ビジュアルプログラミング言語ビスケット (Viscuit) の紹介, コンピュータソフトウェア, 32(1), pp.18–26, 2015.

●受賞講演動画
https://youtu.be/AHNJOd4KQsk